~家族でできる備えと避難サポートの工夫~
はじめに
6まる-blogでは、防災をテーマに日常生活に役立つ情報をお届けしています。
防災というと「非常食」や「避難所」のイメージが強いですが、実際には家族の状況に合わせた工夫が欠かせません。特に、高齢者や小さな子どもがいる家庭では、体力や判断力、生活習慣に応じた備えが必要になります。今回は、家族みんなで取り組める防災のヒントをご紹介します。

家族で一緒に取り組む「日常の備え」
防災というと「特別なもの」と考えがちですが、本来は日常の延長線上にあるものです。普段の生活に自然に取り入れられる工夫こそが、無理なく続けられる「日常の備え」になります。
食事と飲み物の準備
非常食や水は単に備えるだけでなく、**「誰が何を食べられるか」**を意識することが大切です。
- 子どもには、安心感を与える食べ慣れたお菓子やレトルト食品
- 高齢者には、やわらかい食品や嚥下(えんげ)に配慮したゼリー食やレトルトおかゆ
こうした工夫で、非常時の食事でも「食べられない」「飲み込めない」というトラブルを減らせます。


健康管理のための備え
常備薬や持病の薬は、最低1週間分をまとめておくと安心です。
また、薬を服用している方の「お薬手帳」や処方内容のコピーも一緒にしておくと、避難所や医療機関でスムーズに対応してもらえます。
避難ルートと集合場所
家族全員で「避難経路」や「集合場所」を確認しておくことも欠かせません。災害時は携帯電話が使えない可能性もあるため、「連絡が取れないときはここに集まる」というルールを決めておきましょう。
点検の習慣化
備えは一度整えただけでは不十分です。非常食や電池、薬には期限があります。年に1回、防災の日(9月1日)や誕生日など覚えやすい日に、家族で点検する習慣をつけると続けやすくなります。
高齢者を守るための工夫
災害時にもっとも心配されるのが、高齢者の安全です。体力や持病、日常生活で必要な道具の有無によって、避難行動は大きく左右されます。日頃から工夫しておくことで、いざというときに安心につながります。
1. 荷物は「できるだけ軽く」
避難の際に重い荷物を高齢者に持たせるのは大きな負担となり、転倒や体調悪化につながる危険があります。
非常持ち出し袋は家族で分担し、高齢者は最低限の必需品だけを持つ ようにしましょう。近所の人とも声を掛け合い、助け合える体制をつくっておくと安心です。
2. 日常生活に欠かせない物をまとめておく
高齢者の場合、避難所で「薬がない」「補聴器を忘れた」といったトラブルが命に関わることもあります。
- メガネ
- 補聴器・電池
- 入れ歯洗浄用品
- 杖や歩行補助具
- 持病の薬(最低1週間分)
これらは「高齢者専用の小さなポーチ」にまとめておくと、すぐに持ち出せて安心です。
3. 避難所での生活を想定する
避難所では、必ずしも椅子や布団が用意されているわけではありません。硬い床に直接座る・寝ることは、高齢者の体には大きな負担となります。
そのため、折りたたみ椅子や簡易マット、エアークッション を備えておくことをおすすめします。軽量で持ち運びやすいタイプを選ぶと避難時にも役立ちます。
4. 事前に「誰がサポートするか」を決めておく
災害は突然やってきます。家族の中で「誰が高齢者の手を引くのか」「誰が荷物を持つのか」を事前に話し合っておくことが重要です。さらに、近所や地域の人にも「うちは高齢者がいるので助け合いたい」と伝えておくと、避難時にスムーズにサポートを受けられます。
高齢者を守る防災対策は「特別な準備」ではなく、普段の生活に必要なものを整理しておくこと から始められます。家族の協力と地域のつながりが、大きな安心につながるのです。
子どもを守るための工夫
高齢者と同じように、子どもにも特有の課題があります。特に小さな子どもは体力がなく、不安や恐怖を感じやすいため、安心感を与える工夫 がとても大切です。
1. お気に入りの物で安心感を
災害時、子どもは環境の変化に強いストレスを感じます。お気に入りのぬいぐるみや毛布、絵本など、心を落ち着けるアイテム を防災バッグに入れておきましょう。これだけで子どもの不安が大きく和らぎます。
2. 子ども用の非常用品を忘れずに
大人と同じ非常食では食べにくいことがあります。
- ベビーフードや離乳食
- アレルギー対応食品
- 紙おむつ、おしりふき
- 粉ミルクや哺乳瓶(液体ミルクも便利)
を必ず準備しましょう。年齢に合わせた用品を揃えておくことが大切です。
3. 子ども自身が持てる「小さな防災リュック」
小学生以上の子どもには、自分で持てる軽いリュックを用意すると安心です。
- 小型の懐中電灯
- 水筒
- 笛(ホイッスル)
- ハンカチやティッシュ
など、最低限のものを入れて「自分の防災グッズ」として持たせる習慣をつけましょう。避難訓練のときに実際に背負わせると、子どもも自分の役割を理解できます。
4. 防災を「遊び」として学ぶ
子どもにとって防災は難しいテーマですが、遊びやゲーム感覚で取り入れると自然に身につきます。
- 家の中で「停電ごっこ」をして懐中電灯を使ってみる
- 避難ルートを実際に歩いてみる「避難ウォーク」
- 家族で防災クイズ大会を開く
楽しく学ぶことで、子どもは「防災=怖いこと」ではなく「自分も参加できること」として理解できます。
子どもの防災対策は「心の安心」と「自分でできる行動」の両立がカギです。家族と一緒に取り組むことで、子ども自身も災害時に強くなれます。
地域や近所とのつながりが防災力を高める
家族での備えはとても大切ですが、災害時には 地域や近所との助け合い が大きな力となります。特に高齢者や子どもを守るには、家族だけで対応するのは限界があります。日頃から地域とつながっておくことが、安心につながります。
1. 普段からの声かけが大切
「近所に高齢の親がいる」「小さな子どもがいる」といった情報をさりげなく共有しておくと、いざというときに助けてもらいやすくなります。普段から挨拶や声かけをしておくことが信頼関係の第一歩です。
2. 地域の防災訓練に参加する
自治体や町内会が主催する防災訓練は、顔見知りを増やすチャンスでもあります。避難所の場所や物資の備蓄状況を知っておくことも大切です。家族で参加すれば、子どもにとっても貴重な体験になります。
3. 役割分担を事前に確認する
地域によっては「安否確認の班」「避難所運営の班」といった役割が決められている場合もあります。自分の家庭に合った役割を把握し、災害時にどう動けばいいかを知っておくと行動がスムーズです。
4. 共助の力が安心につながる
災害時、行政の支援が届くまでには時間がかかります。最初の命を守るのは「自助=自分の備え」と「共助=近所の助け合い」です。普段からつながりを育んでおくことで、「助けて」と言える関係性が築かれます。
こうした地域のつながりは、「高齢者や子どもをどう守るか」というテーマとも深く関わります。
家族だけでなく、地域全体でお互いを支える意識 が、最も強い防災力になるのです。
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地域や近所の人と普段から顔を合わせておくことは、災害時の安心にもつながります。いざという時に助け合える環境があれば、高齢者や子どもを守る力がぐっと強くなります。
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まとめ
防災は「非常時だけの特別なこと」ではなく、日常生活に溶け込ませてこそ力を発揮します。高齢者や子どもを守る工夫、地域や近所とのつながりなど、小さな積み重ねがいざという時に大きな力になります。
あなたの家庭では、どんな工夫をしていますか? 今日からできることを、ぜひ一つ取り入れてみてください。



